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第48/49次長期滞在プライムクルー・バックアップクルーのロシア最終試験が開幕しました。

私たちプライムクルーは、今日はISSロシア区画の最終試験です。

朝8時40分に開会式(?)があって、そこでシミュレーションされる不具合の書かれた封筒からアナトーリが1枚選びます。
そのあと、簡単なインタビューを受けて。
いざ、試験へ。

9時10分から、ヒューストン・モスクワの管制センターとの定例通信を行って、ケイトと私は一旦モックアップから離れます。

私たちはロシア区画のユーザーレベルなので、スペシャリストのアナトーリとは実施できるタスクのレベルも種類も雲泥の差があり、シミュレーションには午後から参加することになっているのです。

ロシア区画にアナトーリ1人を置いてきぼり。

コテージに戻って、ゆっくり明日のソユーズ最終試験の準備をしたり、ゆっくりご飯を食べていると、少し置いてきたアナトーリのことが気になりましたが、まあ彼なら大丈夫でしょう。

私たちのタスクが始まる14時少し前に戻ると、案の定、アナトーリが涼しい顔。
「調子どう?」と聞くと、「悪くないね」という答えが返ってきました。
既にいくつかの不具合に対処したとのこと。

14時になってからは、ケイトも私もタイムラインに従って、自分に与えられたタスクをこなしていきます。
ほとんどが先週のルーティン・オプス・シムで実施済みのタスクなので、問題なく終えました。
食事の準備、ハッチの開閉、ビデオメッセージ収録、システムのコントロール端末操作、トイレの使用、尿タンクの組み立て、飲料水の水質チェックなどなど。

子供との交信イベントを終えたところで、サービスモジュール内に煙が発生。

ちょうどこのとき、私はサービスモジュールにいたので、手動で火災警報を鳴らそうと思ったら、一足早く自動探知で警報が作動しました。
隣のモジュールにいたケイトに状況を伝え、酸素マスクを装着します。
そこへ、ケイトとトイレから戻って来たアナトーリが合流。
全員ちゃんとマスクを装着したのを確認したところで、火災の対応手順に入ります。

作動した煙探知器の情報を元に、火元を特定し、消火器で消火活動にあたります。

シナリオとしては色々な分岐がありえるのですが、今日は消火器で消火することが出来たので、そのあとは空気の正常化の手順を実施して自動処置を元に戻したところで試験終了です。

ちなみに、ロシアの酸素マスクは化学反応で酸素を作り出すので、腰に装着するカートリッジが熱くなります。
おまけにフルフェイスの頭から被るマスクなので、暑いのなんの。
汗だくでの火災対応となりました。

終始、ミスらしいミスはなく、デブリーフィングでも良い評価を頂いて、無事に合格です(^v^)

残すは、明日のソユーズ最終試験・・・
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ロシア訓練
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今日の午後は、ISSロシア区画のRoutine Ops Sim(ルーティン・オプス・シム)がありました。
ISSでの日常的なタスクをシミュレーションする訓練ですが、これとほぼ同じタスクを来週の最終試験でも行うことになるので、ある意味予行演習のようなものです。

それにしても、今日は細かいミスを色々とやらかしました。
久しぶりのロシア区画の訓練というのもありますが、凡ミスもあり、とても勉強になりました。

アナトーリとケイトと、3人それぞれ自分のタイムラインに沿ってタスクをこなしていきます。
私に与えられたタスクは、

・食事の準備
フードウォーマーで缶詰と乾パンを温め、ジュースの粉末パックに水を注ぎます。
水を注ぐ際、ボタンを押しても水が出ないので地上の管制センターに確認していたら、なんと別のボタンを押していたというオチ。

・ハッチの開閉
ロシア区画のハッチは、2種類あるのですがどちらも非常にシンプルです。
ハッチを手で閉めて、取っ手をグルグル回すと、ロックされるようになっています。
慣れれば10秒もかかりません。
ハッチを開ける前は、横にあるバルブを開いて、前後の気圧差をなくさないといけないのですが、ハッチを開けた後にそのバルブを元に位置に戻すのを忘れ。
単純な手順書の読み飛ばしでした。

・ビデオメッセージの収録
3人で、地上のスタッフ宛てのメッセージを収録しました。
カメラの下のタブレット画面に流れるカンペ(!)を読んでいくのですが、スクロールが速く、私もケイトも付いていくのに必死。
一番最後の難解な単語でつまづく。

・食事の取り出し
フードウォーマーから食べ物を取り出す。
温めるのは、約30分かかります。
マンゴージュース飲んでみましたが、結構美味しいです。

・システム制御用ラップトップ端末の操作
地上からの指示に従って、画面を開き、気圧をチェック。
その後、アラームが鳴る基準値の設定変更を実施。

・トイレタイム
と言っても、実際にするわけではなく、宇宙トイレの使用法を確認。
まず、トイレシステムのステータスを確認。
その後、小用ホースと便器のセットアップ。
用を足した後の、処置をシミュレート。
次の人のための準備(これ重要!)をして終わり。

・サービスモジュール内の、二酸化窒素濃度の測定・記録

・荷物の移動
貨物船で到着した荷物を、所定の場所に片付けていきます。
終わった後は、物品管理データベースを更新して終わり。

・トイレ用汚物タンクの組み立て
本体と蓋を合わせてボルトで締めていくだけですが、ボルトを締める際は対角線上のボルトをペアにして締めていきます。
こうしないと、均等にボルトが締められず、気密性が失われ大変なことに。

・アマチュア無線による小学校との交信
小学生役のインストラクターの質問に対して、回答します。
ISSは秒速8km近い猛スピードで飛行しているので、ある地点で交信が可能な時間はわずか10分足らずです。
テンポ良く簡潔に答えていかないと、子供たちが用意してくれている質問全てに答えられなくなってしまいます。

・最後にお約束の火災
火元は、サービスモジュール内にある二酸化炭素除去装置。
火元を特定した後、消火器2本使ったところで鎮火。
その後、汚染された空気のクリーニングするためのフィルターを設置したり、火災発生に伴い自動で停止したシステムの再起動などを行いました。


訓練後はインストラクターたちとのデブリーフィングを行って終了です。
明日はバックアップクルーが同じ訓練を受けるので、夕食時に自分たちがやらかした失敗を共有しておきました。
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ロシア訓練
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昨日の午後、ISSのトイレに関するリフレッシャー訓練がありました。
多くの先輩方からのおススメに従い、自分でリクエストしたものです。
 
トイレ、大事ですよね。
インストラクターと付きっきりで、みっちりと復習しておきました。
 
まずはトイレ関係のハードウエアの復習、見た目は地上の便器と似ていますが、違うところは「小」用のカップとホースが付属しているところや、後ろのパネルを開けるとそこには、排泄物を吸い込む用のポンプや、匂いのフィルター、水分を除去するタンク、処理液のタンクなどなどが小さいスペースに詰め込まれています。
 
ハードウエア以外にも、トイレットペーパーの代わりに使うティッシュやウエットワイプなど、トイレ内には多くの備品が備わっています。
 
次に、通常の使用手順の確認。
それぞれ、「小」のときと「大」のときについて。
ポンプを作動させるタイミングや、尿用カップのカバーや便器カバーを開けるタイミングなど、重要です。
カップを外さずにポンプを作動させると故障する恐れがありますし、ポンプを作動させずに便器のカバーを開けると、匂いやら最悪の場合、便器内の「浮遊物」が逆流してくる恐れがあります。
 
インストラクターが、これまでのクルーの経験談やコツを紹介してくれましたが、どれもとても参考になりましたし、聞けば聞くほど、慣れるまでは細心の注意が必要だなと思いました。
 
まずは便器に自分の身体を固定するのにもコツがいりますし、その姿勢からしっかりと便器内に排出するのにもコツがいります(冗談ぬきで!)。
しっかりとした初速を与えてやるのが大切で、これが上手くいかないと便器の入り口のところにモノが付着して、そこにどんどん積み重なっていったり、そもそも「的」を外すと大惨事になります。
最初の数回はとにかく、いかなる不測の事態に備え、使用前に全ての衣服を脱いだ方が良いと言われました。
横着して、地上のようにシャツをまくり上げて脇で挟んで、などとやっているといざという時に手が使えなくなるからです。
 
こういうリアルなISSで生活していく上でのコツは、重要ですよね。
 
他にもこのインストラクターからは身体の拭き方のコツも教わりました。
ISSでは、同じタオルを定められた使用サイクルに従って何日か使いまわすのですが、
 
インストラクター「基本的には、上から下、これだけを頭に入れておけば大丈夫だ」
 
私「はあ(´・ω・`)」
 
インストラクター「脇の下を拭いたタオルや足の裏を拭いたタオルで次の日、顔を拭きたくはないだろう?」
 
私「なるほど‼ Σ(゚д゚lll)」
 

とってもためになるリフレッシャーでした。
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昨日は実験の基礎データ取得や、ISSの実験ラックの使用方法に関する訓練、アマチュア無線を使った交信イベントに関するブリーフィング、ISS機器のメンテナンスに関する訓練など盛り沢山でした。

中でも特に興味深かったものを2つご紹介します。

①ISSでのRNA分析器
通常、生物学的実験のサンプルは地上に持ち帰って分析されますが、現在NASAではRNA(リボ核酸)を含むサンプルをISSですぐに解析できる装置を導入しようとしています。
そうすることによって、サンプルを採取してから24時間以内に解析することが可能になります。
面白かったのは、サンプルをいくつかのプロセスで処理した後、遠心分離器にかけるのですが、通常の遠心分離器を使用するのではなく、電動ドリルを使って宇宙飛行士自らが遠心分離させるやり方を取っていることでした。
サンプルを環状に配置した後、それをドリルにセットしてトリガーを引くだけです。
10秒数えて、遠心分離完了です。
何ともお手軽で、面白い発想だなと思いました。

②二酸化炭素除去装置(CDRA)のメンテナンス
現在、ISSのアメリカ区画にはCarbon Dioxide Removal Assembly(CDRA:シードラ)と呼ばれる二酸化炭素除去装置が2つ装備されています。
通常は、2つの内の1つが稼働していて、残りの1つはバックアップとして温存してあるのですが、このCDRA、かなり頻繁に故障に見舞われていて都度宇宙飛行士がそれを修理しています。
しかもその修理作業の難易度がかなり高いことで有名です。
「モンスター」と呼ぶ飛行士もいます。
通常はスペシャリスト資格保有者がこのメンテナンスを行うので、私はこれまで訓練を受けていませんでしたが、今回初めてその訓練を受けることが出来ました。

CDRAの故障の一番の原因はバルブの故障ですが、その交換作業を実施しました。
まず複雑なのは、CDRA自体をラックから引き出すことです。
後ろの配管を外したり、諸々の準備作業が必要で、2人の飛行士が作業しても2時間以上が必要だそうです。

いざ、引き出してみたCDRAはまさにモンスター。

大きさとしてはラック全体の4分の1くらいなのですが、よくもまあこれだけの機器をそのスペースに詰め込んだなと、感嘆してしまいました。
ピッチリと隙間なくラックに収まるよう、複雑に入り組んだ配管。
バルブを交換するために故障したバルブを取り外そうにも、ネジにアクセスすることすら容易ではありません。
ネジごとにアクセス方法と使用する工具を切り替えて、何とか取り外しに成功。

ところが、そこに新しいバルブを取り付けるのがまた大変です。
ネジや配管を並行して接続していかなければなりません。
1つずつ接続していくのは不可能に近いです。
例えるなら、映画「バックトゥザフューチャー」で、ドクがマーティを現代に送り返すためにデロリアンに電流を送るための電線を時計台に配線するシーンがありますが、あの1か所を接続すれば他の箇所が外れ、という感じです。

噂には聞いていましたが、CDRAのメンテナンス作業はかなり手強そうです。
ISS船内の二酸化炭素濃度を低く抑えることは、クルーの健康上非常に重要なので、CDRAが故障すればすぐに修理することになるでしょう。
もし私がその作業に当たることになったら、頑張りたいと思います!

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今日はISSアメリカ区画の緊急事態対処訓練があり、1部の模様は日本の報道陣の方々に公開されました。

2年以上にわたって続いてきたISSシステム訓練の総仕上げとも言えます。
これまでずっと私たちの訓練を取りまとめてきたジョン・レイさんも、冒頭で

「いよいよこれが最後だ。そう思うと、少し寂しいがね」

と思わぬ本音を漏らしていました。

始まりがあるということは終わりがあって、またそれは次の始まりに繋がっていくことでしょう。

さて。
ISSの緊急事態については、もうここで何度もご紹介してきたので今更な感が半端ないので、今日は今回実施したシナリオの中から2つ選んで記します。

①エアロックでの火災発生
これまでと少し異なるのは、冒頭にエアロックを制御するコンピューターの故障が発生したことです。
そうなると、エアロック内のシステムの状態を把握する術が失われるため、火災が発生してもそれを自動で検知することが出来ません。
今回の場合は、このコンピューター自体が火災の火元だったので、幸いコンピューターの故障に伴いエアロックの状況を確認しにいったケイトがすぐに事態を発見することが出来ました。
そのあとは定められた手順に従って、チーム内で役割分担してある通りに対処します。
アナトーリはISSコマンダーとして全体の指揮にあたり、ケイトが端末でのシステム操作を担当、私が実際の消火活動にあたります。
二酸化炭素式の消火器を使用しても鎮火せず、最終的にはエアロック全体の電気を遮断してモジュールを隔離して終わりました。

②きぼうからの空気漏れ発生→応急処置まで
次のシナリオでは、ISSの空気漏れが発生。
気圧計を使って、50秒に1mmHgという、比較的ゆっくりとしたスピードで気圧が低下しているのを確認。
次にその値とチャートを使って、人体にとって危険な490mmHgという目安まで気圧が低下するまでの猶予は約4時間と算出。
そのあとは、例によって各モジュールを隔離しながら原因となっているモジュールを探していきます。
徐々に「犯人探し」の網を引き絞っていくと、きぼうを隔離した時点で気圧の低下がストップ。
つまり、きぼうから空気が漏れていることになります。
ここから先は、これまでの訓練ではやったことのない流れでした。
空気が漏れるスピードが緩いので、地上はこれを修復可能と判断しました。
地上がきぼうへの再入室の準備を進める間、私たちは修復キットを準備し、手順を確認します。
空気が漏れているということは、モジュールのどこかに穴や隙間が開いていることになるのですが、その箇所を探すために超音波探知器を使用します。
空気が漏れる際の高周波の音を、探知器で検知しようというものです。
私がヘッドセットを被り、小型の探知器でモジュール内をスイープしていきます。
やがて探知器が拾ってくる雑音の中で、1か所明らかに他と違う音が発生している箇所を発見。
そのエリアのラックを回転させた外壁部分に、直径1cm強の穴が開いています。
それを応急用のパッチによって塞いで、気圧の低下が止まったのを確認して終了です。

今日は全部で5つのシナリオを実施しましたが、既に阿吽の呼吸が出来上がっている私たちですので、大きな問題もなく対処することが出来ました。
各シナリオ後のデブリーフィングでは更にどこを改善できるかについて話し合い、建設的な議論を行うことが出来ました。

これまで何度も重ねてきた訓練のお陰で、私たちのチームワークもバッチリです。
1人1人が自分の役割を認識して、それを着実に遂行する、良いチームの形が出来上がっているのを実感しました。
このメンバーでのフライトが、待ち遠しいです。
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アメリカ訓練
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金曜日は朝から5時間半ぶっ通しで訓練がありました。
Routine Ops Sim(ルーティン・オプス・シム)と呼ばれる、ISSの日常的な業務をシミュレーションする訓練の最終回です。
アナトーリとケイトと私の3人で臨みました。

この訓練は、ISSの実物大のモックアップを使用して行われ、地上との始業ブリーフィングからしっかりと模擬する形で行われます。
私たち3人はそれぞれのタイムラインに従って与えられたタスクを実施しながら、何か問題が発生したら管制チームと連係を取りながらその問題に対処していくことが求められます。

今回は宇宙実験のタスクもタイムラインに入ってきました。
今回が初めての試みだそうです。
実験の管制は、ヒューストンではなく、ハンツヴィルの管制センターが行っているので、訓練に実験タスクも入れるのは、それなりに事前準備が大変だったはずですが、お陰様でより実際の1日に近いタイムラインになったと思います。

始業ブリーフィングのあと、前半はアナトーリと組んでのタスクです。

まず最初はトイレの尿タンクの交換作業です。
通常はある程度溜まった尿は、そのまま尿処理装置に送られてその後飲料水に変えられるのですが、何らかの事情で装置が動かせないときなどは、以前のように満杯になった尿タンクを新しいものに交換してやる必要があります。

タスク自体は、コネクターを外したりボルトを緩めたりといった基本的な作業だけなので簡単なのですが、注意点としては万が一コネクターを外した時に尿が漏れてきた場合に備えて、タスク実施時はゴーグルやマスク、手袋をしなければならない点があります。
これは、尿に特殊な液体を加えてからタンクに貯蔵するためで、この液体と混ざった状態の尿が人体に有害だからです。

次に行ったのは、水再生装置のメンテナンス作業です。
これは、2日前に訓練で習った新しい機器を使用しての作業なので、訓練でやったばかりということもあり簡単でした。
まだ作られて間もない手順書なので、指示がわかりにくい点などをインストラクターにコメントしました。
こうやって、実際に作業を行ったクルーからのコメントが反映されて、手順書はどんどん改良されていくのが普通です。

そのあとは、広報イベントです。
アメリカの雑誌記者からのインタビューという想定で、カメラ・マイクのセットアップから実際のインタビューを模擬して実施しました。

次に、緊急事態対処訓練を行いました。
これは、ISS滞在中も定期的に同様の訓練を行っているので、それと同じ形です。
私たちが地上でいつも訓練を行うのとの大きな違いは、ISSでは実際に機器を操作したりできないという点です。
例えば、酸素マスク一つとっても貴重な装備品ですので、それを実際に着用したりすることは出来ません。
また、ハッチを実際に閉めたりするのも不可能です。
一番気を付けないといけないので、緊急事態発生の警報を手動で鳴らさないことです。
地上での訓練では、まずクルーはこれを手動で鳴らすのですが(自動で鳴らなかった場合)、実際のISSでこれを平常時に鳴らすと、関連するいくつかの自動処理手順が実行されてしまうからです。
モジュール間の換気が止まったり、いくつかのシステムが自動でシャットダウンするので、実験などに影響を及ぼしてしまう恐れがあります。
なので、実際の操作は行わないんだ、というのをクルー同士で何度も何度も念押ししながら訓練を行いました。

後半は宇宙実験に関する作業がほとんどで、ヨーロッパの宇宙実験の、宇宙で植物を育てる実験の試料カートリッジの交換や、アメリカの実験装置のセットアップなどを実施しました。
交信役として、実際にハンツヴィルで交信官を担当している方が訓練に参加してくれていたので、その方とやり取りしながらの作業となり、本当にISSで作業しているような感覚に近かったです。

最後に、Node1(ノードワン)と呼ばれるモジュールの清掃を担当して終了です。
清掃は毎週末に実施されますが、換気が重要な意味を持つISSでは、換気口や空調設備周りの掃除が特に大切です。
ホコリが溜まりやすい場所を掃除機で掃除し、人が手で触れやすい食事テーブルや手すりを消毒用ワイプで拭いたりしました。

5時間は、分刻みのスケジュールでとても忙しかったですが、実際のISSでの滞在中もこんな感じで平日の日中はあっという間に過ぎていくのでしょうね。
効率良く仕事をこなしていくためにも、クルー間での協力や、先の作業を見越して動くことなど、多くのことを学べた有意義な訓練でした!
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アメリカ訓練
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今朝、ジョンソン宇宙センターの宇宙飛行士室に出社して、自分の机がある部屋に向かっていると、油井さんの机がある部屋の入り口になんと!

昨日ISSから帰還したばかりのスコット・ケリー飛行士が立っていました。


・・・いや、もちろん本人なわけはないのですが。
当のスコットは、私がいまこれを書いているこの瞬間も、まだヒューストンに向かう飛行機の中です。

ISS長期滞在に向かう飛行士は、等身大のパネルを製作してもらえるのですが、誰かがそれを彼の部屋の入り口に設置していったようです。
元はこのパネル、飛行士が不在にしている間も子供が寂しがらずに済むようにと、家族に配られたという話を聞いたことがありますが、今は少し違う使われ方をしているのかもしれません。
先日日本に帰国していた間に、JAXAの東京事務所の受付前で、油井さんの等身大パネルを見かけましたし。

それにしても、一瞬本人がいるのかとドキッとするくらい良く出来ていました。


さてさて。
今日は、午前中にISSの生命維持システムに関するアップデートやNASAのリードフライトディレクタ―とインクリメントマネージャーとの打ち合わせ、ジョンソン宇宙センター所長のエレン・オチョア飛行士との面会が。
午後は、判断力を測るWinSCATテストの飛行前データ取りの最終回や、ARED(エイレッド)と呼ばれる運動機器を使用した体力訓練がありました。

WinSCATについては、こちら。
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/VRp8wt2BDP2
AREDについては、こちらをご参照ください。
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/V2HoT6iKQEK


ISSのシステムは、常に進化し続けているので、私たちが最初に訓練で習った内容が異なっていたり、新しい機器が増えたりしています。
そのため、定期的に各システムのインストラクターから、それぞれのシステムの最近の変更点を教えてもらう時間がスケジュールされます。
これは復習にも役立ちますし、とても良い訓練システムだなと思っています。

今日のトピックは生命維持システムに関する変更点でしたが、ここ数週間の間に新しい機器が導入されていました。
ご存知の通り、現在ISSでは水を尿などからリサイクルして飲料水を作っていますが、その尿処理装置と水再生装置は非常に複雑で、そのため割と頻繁に故障します。
また、定期的なメンテナンスが欠かせません。

ISSの運用で欠かせない概念として、「クルータイム」というのがあるのですが、これは飛行士が作業をした時間のことです。
地上の管制チームのゴールは、いかにクルータイムを少なくして高い成果を上げるか、ということになるのですが、この尿処理・水再生装置にはこれまで多くのクルータイムが割かれてきました。
逆に言うと、それだけ重要なシステムということになるのですが。

今回新しく導入された機器によって、この装置の定期メンテナンスの作業がかなり楽になり、クルータイムの削減が見込めるそうです。
今日の訓練では、この新しい機器を使用して定期メンテナンス作業を実施しましたが、古い手順ではタンクをラックから取り出したりする必要があったのが、新しい手順では、タンクはそのままでその中身だけを吸い出すことが出来るようになっていました。
しっかりと計ってはいませんが、タスクの所要時間は従来の3分の2くらいに減ったのではないでしょうか。

ISSが常に進化し続けているのを実感しました。
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今日の午前中は、ISSロシア区画で急減圧が発生した場合の対処訓練がありました。

対処法としては、アメリカ区画で発生した場合と大きな差はありません。
まず自分たちのソユーズの気密性をチェックして、そのあとはハッチを閉めていって空気が漏れているモジュールを特定することになります。

アメリカでは、モジュールを特定して隔離するところまでが基本的な手順なのですが、ロシア側ではモジュールを特定した後、いくつかの安全化処置を行ってからモジュールを隔離することがほとんどです。

これは空気が漏れているモジュールというよりも、そのモジュールを隔離することによってアクセスが出来なくなるモジュールの安全化という観点です。
しばらくそのモジュールは無人になるので、その間モジュールを保全できるように、機器をシャットダウンしたり、照明を消したりします。

また、ソユーズがドッキングしているモジュールから空気が漏れているようなケースもあり得ます。
その場合は、クルーはソユーズに避難して、その後ISSから離脱して地球に帰還するという流れになります。

今日の訓練では、それら色々なパターンからなる5つのシナリオを実施しました。
チームワーク良く対処できたと思います。

午後は、アンモニア用マスクを着用した状態でソコル宇宙服を着る練習をしました。
先日は、酸素マスクから着替える練習をしましたが、今日はアンモニア用マスクです。

難易度としてはこちらの方が難しいと感じました。
視界の狭さは同じくらいですが、宇宙服を着た状態でマスクを着用するのが、頭の大きい私には大変でした。
同様にケイトも、髪の多さのためにマスクの着用で苦戦していました。
アナトーリだけが、1人涼しい顔をしていました。
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ロシア訓練
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今日はケイトがいつもと少し違う髪型にしていました。
髪型って言うんですかね、要は結び方を変えていました。
それを見た通訳の女性が、

通訳「ケイト、今日の髪型ステキね」

ケイト「ありがとう( ^^) 」

私「それやるのにどれくらいの時間かかるの?」

ケイト「2分くらいよ」

髪の話になったので、私はこれ幸いと、以前から気になっていた質問をぶつけてみました。

私「ケイト、ISSにいる間は散髪するつもり?」

もし散髪するつもりなら、その時にISSに一緒に滞在している他の誰かが美容師になるしかありませんΣ(゚д゚lll)
ちなみに男性ばかりです。

ケイト「ノー!!あなたたちのことは信頼してるけど、散髪を任せられるほどじゃないわ」

私「だよねwww」

と、この返事には思わず爆笑でした(;´∀`)
あー、一安心。


さて。
今日の午前中は、ソユーズの手動ドッキングの操作訓練とロシア語。
午後は明日のISSロシア区画の急減圧訓練と水曜のソユーズシミュレーション訓練の事前ブリーフィングがありました。
ソユーズのシミュレーション訓練では、手順書を見ないで地球に帰還する手順をやらなければならないそうです。

そのあと、ソユーズとISSに備えられる医薬品・医療機器に関する説明がありました。
中でも宇宙酔いを軽減する薬に関する説明に一番多くの時間を割きましたが、飲み薬と座薬と注射タイプがあり、それぞれの違いについて教えてもらいました。
飲み薬だと飲んでから効くまでに気持ち悪くて吐いてしまうと、薬も吐き戻してしまうので、先生のオススメは座薬ということでした。
座薬なんてもうかれこれ20年以上、使ったことないんですけど・・・
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今日は、ISSロシア区画の火災対処訓練から始まりました。

最初のシナリオは、ロシア区画のコアであるサービスモジュールと呼ばれるモジュールで火災警報が鳴りました。
ロシア区画では、火災探知器として煙探知器が使用されています。
1つのモジュール内で複数の煙探知器が作動した場合、最初に作動した探知器の周辺が火元である可能性が高いので、専用のパネルから最初に作動した探知器の場所を探し当て、火元を確認する手順になっています。
このシナリオでも、その情報に従ってすぐに火元がわかったので、消火器を噴射しました。
1本使っても消火できず、2本使い切ってようやく消火を確認。
その後は、火災発生と共に実行された多くの自動処置を元に戻す作業と、フィルターを使って空気を正常化させる仕事が待っています。
ロシア区画に関しては、私もケイトもユーザーレベルの訓練しか受けていないので、手順の複雑な箇所はアナトーリしか実行できません。
私とケイトはもっぱらロシア区画内を動き回って、スイッチの操作やフィルターの組み立てなどを行いました。

2つ目のシナリオでは、同じくサービスモジュールの煙探知器が作動しましたが、今度はその場所を探し当てても火元が見つかりません。
ポータブルの空気の組成分析器にも、異常な値は検出出来ません。
こういったケースは、煙探知器の誤作動によって起こりえます。
実際のISSでも、割と頻繁にこの誤作動が起こっているのですが、クルーが動いた拍子などにホコリが舞い上がって、煙探知器が誤作動すると考えられています。

3つ目のシナリオは最初のシナリオと同様でしたが、消火器を2本使っても消火できず、最終的にはサービスモジュール自体を退避することになりました。

さて、最後の4つ目。
今度は私たちのソユーズがドッキングしているモジュールから火災が発生しました。
こちらも消火器2本で消火できず、モジュールをシャットダウンしてソユーズへ退避することになりました。
こうなるともうしばらくそのモジュールには戻れませんので、手順では私たちのクルーはそのままソユーズで緊急帰還することになっています。

ここでISSの訓練は終了して、そのままソユーズのシミュレーターに移動して、ここからはソユーズの訓練になります。

ポイントは昨日書いた通り、酸素マスクを着けた状態でソコル宇宙服を着て、さらにソユーズの酸素供給システムに乗り換える部分の練習です。

以前、ソコル宇宙服の着方について写真でご紹介しましたが、そちらを参考に。
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/e9Gvvg6w78W
マスクを着けたままで宇宙服を腰の部分まで着て、さらに腕を通した状態まで着用します。
そのあと、息を止めて目を閉じたままマスクを外して、首を宇宙服に通して再度マスクを着用します。
昨日コメントで何人かの方から質問がありましたが、息を止めて目を閉じるのは煙などの有害物質でやられないためです。
こういったケースでは、ソユーズの船内まで煙が充満する可能性が高いからです。
首から上がマスクで密閉された状態と言うのは、めちゃくちゃ暑いです。
マスクの中では、もう汗だくです。
加えて、マスクを被っていると視界が、特に口元の視界がかなり制限されて、宇宙服の紐を結んだりするのも一苦労です。

さらにその状態からソユーズの座席に座り込むのですが、ただでさえ狭いカプセル内が尋常でなく狭く感じます。
宇宙服をソユーズの酸素供給ラインに接続したら、その後はマスクを脱いでヘルメットを閉めてしまえば煙の心配はなくなります。

ただ、この時目をつぶったままマスクを脱いだのですが、そのあとヘッドセットを頭に被ってヘルメットを閉めるときに、ヘッドセットのストラップを挟みこんでしまいました。
ヘルメット自体は普通に閉められたので、うかつにもインストラクターに指摘されるまで気付きませんでした。
ソコル宇宙服の腕の部分には鏡がついているので、ちゃんとそれで首元を確認しないといけませんでしたね。
そのまま放っておいたら、あとの宇宙服のリークチェック(気密性の確認)でひっかかっていたでしょう。

その後は、ISSからのアンドッキングを行い、地球への緊急帰還の手順を実施しました。

訓練が終わって宇宙服を脱ぐと、中の下着が汗でぐっしょりになっていました(;´∀`)
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