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米国での訓練も終盤にさしかかっています。
今日は船外活動に関する訓練が中心でした。

まずは、第42/43次長期滞在クルーのテリー・バーツ飛行士とのタグアップから。
これは、プライムクルーとして打ち上げのためにロシアに出発する前に、長期滞在経験者から色々なアドバイスをもらうための時間です。
これと言って決まったトピックがあるわけではなく、与えられた1時間という貴重な時間をどう使うかは、参加者に委ねられています。

参加者はテリーとケイトと私の3人だけなので、かなり本音トークです。
テリー自身の体験談が中心ですので、ここで内容をご紹介することは控えますが、とてもためになる話ばかりでした。
もちろん、星の街での生活中や、日頃の訓練の中で、先輩飛行士から色々な話を聞ける機会も多いのですが、しっかりとスケジューリングされてこういった時間が確保されているのはありがたいです。
打ち上げが近付いてきてはじめて生じる疑問も、沢山ありますからね。

そのあとは、ずっと船外活動に関する訓練でした。
主に、ヴァーチャルリアリティー施設を使った訓練です。

まずは、SAFER(セイファー)の使用法を練習する最後の訓練です。
SAFERは船外活動服に取り付けられる、小型のスラスタ―です。
船外活動中に、ISSから離れてしまった時に使う、最後の切り札です。
詳しくは、過去の投稿をご覧ください。
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/VDSnfYCsSZf

続いて、SAFERを船外活動服に取り付ける訓練。
SAFER自体は、カタカナのコの型をしていて、これを宇宙服のバックパックの下側に取り付けることになります。
宇宙服を着込んだ状態では、右手をだらりと下げた状態から右手を後ろに伸ばしたところにレバーがあって、それを上にあげるとSAFERの操縦装置が飛び出す仕組みになっています。

そのあと、ISSでPCを使用してSAFERのシミュレーションを行うプログラムに関する訓練を受けました。
NASAのヴァーチャルリアリティー施設のマシンは強力なので、そのクオリティと比べるとかなり落ちますが、それでもISSで実際に船外活動を行う直前に同様の訓練が受けられるのはとても良いです。
以前は、PCで動作する単なるプログラムでしたが、いまはよりハイテクになっていて、ゴーグルを取り付けることによって、PC自体がヘッズアップディスプレイのようになります。
ラップトップPCを開いた状態で上下さかさまにして、ディスプレイ前につけたゴーグルに顔をつけると、目の前にISSの仮想現実空間が広がるようになっています。
無重力のISSならではのアイディアですね。
言葉では説明しにくいのですが、実際の写真をご覧頂くのが一番イメージしやすいかと思います。

次に、仮想現実空間のISS上を縦横無尽に動き回って、主要な機器の位置を総復習です。
故障した場合にすぐ船外活動が必要になるような、重要な電源機器などの位置、ならびにそれらのスペアが置いてある位置などを確認していきました。
驚いたのは、日陰に入った途端に目に見える情報が極端に少なくなり、簡単に迷子になってしまうことでした。
宇宙ステーションはサッカーグラウンドくらいの大きさがありますからね。
自分の目の前しか見えないと、本当に自分がどこにいてどっちを向いているかを把握するのが大変だなと思いました。
こればかりは、プールでの船外活動訓練では身に付けられない感覚なので、実際の船外活動前にしっかりとイメージしておくことが大切だと思います。

最後に、500ポンド(230Kg)近い電源機器を手で扱う際の感覚を練習しました。
ちょっと力を入れただけでそっちの方向に慣性がついてしまうので、1人で取り扱うのはかなり大変でした。
通常このような大きくて重い機器を取り扱うタスクは、2人のクルーがアサインされるので、今日はあくまで感覚を経験することが目的でしたが、いやはや、それにしても驚くほど難しかったです。

以上で、第48/49次長期滞在ミッションに向けた船外活動訓練は、全て終了です。
巨大プールで行う実技訓練が9回、それ以外にも多くの訓練時間を費やしました。
間違いなく、ソユーズ宇宙船の訓練に次いで最も多くの時間をかけた訓練だと思います。
それだけ沢山の時間を一緒に過ごしてきたインストラクターたちとも、しばしお別れです(´;ω;`)ウゥゥ

来週は、米国で行われる「公式」な訓練の最終週です。
それでは皆さん、どうぞ良い週末を♪
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昨日のプールでの船外活動訓練は無事終わりました。
朝9時から潜って、午後3時まで。
6時間の間に予定されていた全ての目的を達成できたので、自分では満足のいく出来でした。
これが最後かと思うと、少し感慨深かったです。
訓練終了後には、インストラクターやダイバー、施設のスタッフの方々が簡単なケーキセレモニーを開いて下さいました。

船外活動訓練の1日は、ツールのセットアップから始まります。
宇宙服の胸元につける、MWS(Mini Work Station:ミニワークステーション)と呼ばれる器具に、テザーやゴミ袋、ワイヤー、電動ドライバーなどを取り付けていきます(写真2-3枚目参照ください)。
いくつかの制約を除いて、基本的には自分の好きな位置に取り付けることが出来るので、ここは宇宙飛行士の個性が出る部分でもあります。
みな、訓練を通じて色々なやり方を試しながら、少しずつ自分に合ったセットアップを築いていくのです。

私の場合、ほとんどはスタンダードなセットアップを踏襲しつつ、細かい部分をいくつかいじってあります。
それは、ゴミ袋の取り付け位置といった本当に細かい部分です。
スタンダードはゴミ袋を胸元に外側を向くように取り付けるのですが、私は内側を向くように取り付けます。

内側を向いていると、ゴミ袋に何かを収納するたびにいちいちMWSを少し開いてやって、ゴミ袋が胸元で開けるスペースを作ってやって、収納した後にまたMWSを元の位置に戻してやる必要があるので、少々手間が増えるというデメリットがあります。

しかし、ゴミ袋が内側を向いていることによるメリットもあります。
それは、MWSと宇宙服の間にゴミ袋があるので、そこに隙間が生じることです。
外側を向いていると、MWSは胸元にピッタリくっつくので、隙間はほとんど生じません。
隙間がある分、視線を落とすとその隙間から自分の足元を見ることが出来ますし、MWS上のツールを手に取る際にもはっきりと手元を見ることが出来ます。

私はこれまでの訓練で、外側向きと内側向きの両方を試してみて、内側向きの方がメリットが大きいと判断したので、以降はずっと内側を向かせています。
このように、宇宙飛行士1人1人が自分の体格ややり方にあったセットアップを行っています。

ミニワークステーションの他にも、ISS機器のスペアを運んだりするために使うバッグのセットアップも、朝イチに行います。
大中小という3タイプの大きさがあり、スペア品の大きさに応じてどのバッグを使うかが決まりますが、その他にもレンチなどの工具や電気コネクターのキャップを回収するための道具など、タスクに応じた様々なツールが入ります。
それら1つ1つのものは、宇宙空間に飛び出していかないように、テザーでバッグに結び付けておいてやる必要があります。

その取り付け方や、バッグの中の収納方法も、宇宙飛行士の個性が出るところで、工夫1つでタスクの実施が見違えるくらい容易になったりすることもあるので、一口に船外活動と言ってもとっても奥が深いのです。

「船外活動はアートだ」
とおっしゃる方がいるのもうなずけます。

最後の船外活動訓練についての記事でしたが、かなりマニアックな内容になってしまいましたね(;´∀`)
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今日は明日の船外活動訓練の事前ブリーフィングがありました。

これが私の打ち上げ前最後のプールでのランになります。

実施するタスクは、私たちの長期滞在中に実際に実施する可能性があるタスクですが、誰が船外活動を行うかまではまだ決まっていません。

メインとなるタスクは、Space-X社のドラゴン宇宙船9号機で打ち上げられる予定のIDAアダプター(アイディーエー・アダプター)のインストールです。
このアダプターは、将来のアメリカの民間企業による有人宇宙船がISSとドッキングするためのものです。
従来の、例えばスペースシャトルがドッキングしていたISSのドッキングポートは、ロシア製のドッキング機構が使用されていましたが、今回のアダプターは、そのドッキングポートの先に取り付けられ、アメリカの民間宇宙船の到着を待つことになります。

タスクは大きく分けて、3つのパートに分けられ、まず事前にケーブルを近くに配置する準備パート、IDAアダプターをISSにドッキングさせるパート、ドッキング後のいくつかの細かい作業を行うパートがあります。

準備パートは、既に船外活動で実施されており、必要なケーブル類はドッキングポートの近くに仮置きされた状態になっています。
私たちが明日行うのは、残りの2つのパートです。

まず、ロボットアームがIDAアダプター本体をドッキングポートのすぐ近くまで持ってきてくれているので、船外活動クルー2人がそれを掴んでISSにくっつけます。
そのあと、結合ボルトを回すために必要な電気ケーブルなどを接続します。

実際にボルトを回して結合させる部分は、地上と船内に残っているクルーがコマンドを送信して行います。
結合後、残りのケーブルの接続や、ドッキングポート、アダプター周りに新しい機器を設置したり、既にある機器に防護カバーを取り付けたりといった細かい作業を行って終了です。

ブリーフィングのあとは、アダプターのテストモデルを使用して、ISSとくっつける部分を練習したり、ヴァーチャルリアリティーマシンを使用して、重量のあるアダプターを2人で扱う感覚などを体験することが出来ました(写真はその最中)。
ISSは微小重力とは言っても、重いものと軽いもので慣性は全く異なるので、手で扱う感覚も違ったものになります。
こういった感覚を体験できるのは、非常にありがたいですね。

ちなみに、ドッキング時に使用するセンサー類は光学装置などデリケートなものが多いので、ドッキングポートの周りには船外活動クルーが触ってはいけない箇所が多くあります。
その中の1つが、PDT(Peripheral Docking Target)という機器です。

インストラクター「このPDT(Peripheral Docking Target)には触らないように。あるフライトディレクタ―が、この機器の略語の新しい読み方を先日考案した」

Please Don’t Touch(触らないで)だそうですw
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ジョンソン宇宙センターでの最終訓練が始まりました。

毎週月曜の朝8時から、NASAの宇宙飛行士室の全体ミーティングがあるのですが、今日は私たち3名のソユーズクルーが揃って出席できる最後の機会でしたので、慣習に従って3人で挨拶しに行きました。
まず、クルーサポートアストロノートという役職の飛行士が簡単に私たちとミッションの紹介をしてくれたあと、私たち一人ひとりからスタッフの方々にお礼を述べ、そのあとケーキを切り分けて皆に配って終了です。
私も以前クルーサポートアストロノートとして、若田さんたちを紹介する役目を果たしたこともありますが、今回は自分が送られる番です。
NASAに来てから早7年近くが経ちますが、ここに来るまでにサポートして下さった多くの方々に感謝です。

さてさて。
今日は朝から船外活動に関する訓練、ロボットアームに関する訓練、ISSの物品管理の現況に関する説明、私たちの滞在中に予定されている実験の概要についての説明、と盛り沢山でした。

船外活動に関する訓練では、宇宙服のシステムについて総復習を行いました。

よく、「宇宙服は小さな宇宙船」と言われますが、確かにこの中には人間の生命維持に必要な機能がぎっしりと詰まっています。
そのシステム系統図は結構複雑で、今日はそれを用いて、私がインストラクターに宇宙服のシステムについて説明をしました。

大きく分けて、
酸素供給システム
水循環システム
冷却システム
空気循環システム
電力システム
などのシステムから成ります。
これらのシステムはお互いに複雑に絡み合っていて、例えば酸素供給システムの酸素がそのまま水循環システムの水タンクを加圧するために使われていたり、コンパクトな宇宙服の中にそれらのシステムが詰め込まれている様は、いつ見ても感心してしまいます。

システムの状態は、胸元にある装置で確認することが出来ます。
宇宙服内の気圧や、二酸化炭素分圧、酸素タンクの圧力など、色々なテレメトリデータを確認出来るほか、何らかの異常が発生した場合も、そこに表示されるようになっています。

例えば、宇宙服の気圧が低下した場合は、「SUIT P LOW」というメッセージが表示されたりといった具合です。
そういう場合は、左腕に付けられているチェックリストを参照して、事態に対処します。

簡単なスイッチ操作で処理できる場合もあれば、最悪船外活動を中止してエアロックに戻らなければならないようなケースまで様々です。

訓練の後半では、この装置のシミュレーターを使用して、宇宙服の色々な不具合への対応を練習しました。
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今日の朝イチは、シェインとケイトのプールでの船外活動訓練があったので、宇宙服を着る部分だけ手伝いに行ってきました。

こないだケイトが宇宙服を着るのを別の訓練でサポートしたことがあるので、今日はシェインの担当です。

実際にISSで船外活動を行う場合は、ロシア人クルーから多少ヘルプは受けるものの、1人で2人分のサポートをしなければいけないのでかなり忙しいポジションです。
油井さんも長期滞在中に同様のサポートを行いましたが、スケジュールから遅れないようにというプレッシャーがかなり大きかったようです。

宇宙服はまず下半身から着るのですが、クルーは地面に座った状態です。
しっかりと足がブーツまで入るように、ブーツのつま先を立ててクルーが足を伸ばすのに合わせて押し込んでやります。

上半身はスタンドに固定されているので、クルーはその下にしゃがみこんで、下から上半身部に潜り込むような形になるのですが、ここが一番大変なところで、特に頭の大きい私などは頭を胸部に通すところがいつもとても苦労します。
シェインがそうする間、私は上腕部を持ち上げて腕を通しやすいようにしてあげて、あとは腰のあたりをグイグイ引っ張り上げてサポートします。

割とすんなりと上半身の着用を終えました。
シェインは小顔だなとは思っていましたが、これほどとは。

次に、通信用キャップを装着しますが、これはクルー自身が一番しっくりくるように自分で位置を調整することがほとんどです。
例えばあごのストラップの締め付けが少しでも強いと、首を動かすたびに擦れていって、何時間もプールに潜っている間に不快指数が極限まで上がってしまいますし、緩すぎると途中でキャップがずれてしまい、これまた悲惨なことになります。
ですので、ここはクルーが自分で念には念を入れてチェックします。

そのあと、手袋の装着に移ります。
人によっては、グローブ内で手の皮膚がこすれる部分が痛くなることもあるので、ここで絆創膏のようなパッドを貼ったりしてそれを軽減します。
そして、インナーグローブとして軍手のような手袋をはめて、その上からグローブを装着します。
グローブは良く出来ていて、押し込んで腕の部分に接続した後は、少しひねって回転してやるだけでカチリとロックがかかるようになっています。

グローブのあとは、ヘルメットです。
ここも、頭の大きい私の場合テクニシャンが大変そうに被せてくれるところです。
記憶力の良い方は、以前ペギーに「頭大きすぎっ!」と言われたのを覚えていらっしゃるかと思います。

ヘルメットは金魚鉢のような形をしているのですが、被せるときは後頭部から被せて、それから前側を降ろしていきます。
この時に通信用キャップがずれないように、親指・人差し指・中指でヘルメットを両側から持ち、薬指と小指でキャップを押さえつけながらスライドさせていきます。

小顔のシェインは、ここもすんなり。

私はなんだか恨めしい気持ちになってしまいましたw

最後に、胸の部分に使用するツール類を取り付けて、セーフティテザー(命綱)などを所望の位置に取り付けて完成です!
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今日の朝イチは第49次長期滞在クルーでの写真撮影でした。

6人揃っての集合写真だけでなく、それぞれのソユーズクルー3人ずつに分かれてや、アメリカ区画側とロシア区画側クルー3人ずつに分かれたり、個人で撮ったり、いくつかのバリエーションで撮影しました。

誰も第49次のパッチをブルースーツに縫い付けていなかったので、ガムテープを輪っかにしてパッチの裏に貼って、そのままブルースーツにとめたのですが一見しただけではわからないくらいしっくりきていました。

メンバーによっては、所属機関のパッチが付いていない人もいましたが、今は画像加工ソフトで大概の問題は修正できるらしく、パッチを追加したり、別のパッチに差し替えるのは容易だそうです。
技術の進歩ってすごいですね。
「顔のしわを消してくれ」と頼んでるクルーもいました(笑)
過去には、「二重あごを消してくれ」と真剣に頼んだ人もいるらしいです。

6人でワイワイと、2時間があっという間でした。

ロシア語の授業、昼食を挟んで、午後はバーチャルリアリティー(VR)のシミュレーターを使用した、ロボットアームと船外活動の複合訓練です。
これは、VR空間で2人の船外活動クルーと、1人のロボットアーム操作者、1人の補佐が協力してタスクを行うというもので、今日はジェフ、ケイト、アナトーリ、私の4人で参加しました。

アナトーリはサポート役なので、他の3人で残りの役割を交替で練習しました。

このVR施設、かなり良く出来ていて、ヘッズアップディスプレイと呼ばれる頭に被って視界を覆うゴーグルを装着すると、眼前にはかなりリアルなCGで描かれたISSが広がります。
さらにすごいのは、専用のグローブや胸当てを装着することによって、船外活動クルーの動作がそのVRの世界で反映され、ISS上の手すりを辿って移動したり、身体を回転させたり、頭を動かせばその方向に視界が移ったりと、本当にISSの外で作業しているかのような感覚を味わうことが出来ます。
実際に見て頂くのが一番だと思うのですが、お見せ出来ないのが本当に残念なくらいリアルです。

ただ、CGの3次元空間特有の、目が回るような感覚に襲われることもあり、私は序盤に調子に乗って色々動き回っていたら途中から乗り物酔いのような症状で気持ち悪くなってしまいました(;´∀`)

今日は、1人の船外活動クルーがロボットアームの先端に乗って、大きな機器を手で持って交換作業を行うというタスクを実施しました。
もう1人の船外活動クルーが、ロボットアームと障害物との間隔をモニターしたり、ロボットアームの操作者に、アームをどちらの方向にどれだけ動かすかの指示を出したりします。
アームの操作者は、外部カメラの位置でアームの状態を把握しながら、船外のクルーのリクエストに従ってアームを動かします。
それぞれのスキルは、それぞれ別の訓練で習得済みですので、今日のポイントはクルー間での意思疎通・コミュニケーションの取り方、チームワークを磨くことが目的です。

船外活動にしろロボットアームの操作にしろ、実際のタスクに似た感覚を味わうことが出来、とても有意義でした。
タスク終了後も少し時間が残っていたので、インストラクターが気を利かせてずっとアームの補佐者を担当していたアナトーリにもVR装置を使う機会を与えてくれました。

アナトーリはゴーグルを装着するや、楽しそうにISS上を動き回っていました。
そのアナトーリを傍から撮影した写真がありますので、ご覧下さい。
彼の眼前にはISSが広がっているのです。
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今日はシェインと組んで、久しぶりにプールでの船外活動訓練がありました。

ちょうど別件でヒューストンに出張で来ている、HTVの内山フライトディレクターも冒頭で応援に駆けつけてくれました。
彼は私の大学時代の航空宇宙工学科の同期で、なんと研究室も同じでした。
その後、彼は宇宙、私は航空の分野へ進みましたが、2008年の宇宙飛行士選抜試験で再会し、最終試験までを共に戦った仲間になります。
HTV3号機ではリードフライトディレクタ―を務め、その後も多方面で活躍しているので、いつも私は彼から大きな刺激をもらっています。

さて。
今日のタスクは、ISSの電気機器の交換作業です。

仮置き場に設置されている機器を取ってきて、所定の場所に取り付けるという作業になります。
この作業を、想定される3つのケースに分けて実施しました。

まずは、一番ノーマルかつ私たちの観点から言うと最も簡単なパターン。
ISSのロボットアームは、先端にさらに小型のアーム(SPDMと呼ばれます)を取り付けて、ボルトの締め・緩め、物の移動などをある程度行えるようになっているのですが、そのSPDMを使って出来るだけ事前にセットアップをした状態からのスタートです。
この場合、私たちが行う作業は必要最低限で済みます。
SPDMが使えないようなボルトを備えた機器や、スペース上ロボットアームがアクセスできない位置にある装置を動かすだけで済むからです。
手順自体も既に多くの飛行士によってテストされ、改善を繰り返してきただけあって洗練されていて、特に問題なく3時間で予定された全てのタスクを終えることが出来ました。

次に実施したのが、想定される最悪のケース。
これはSPDMも含めて、ロボットアームが全く使えない想定での船外活動です。
この場合、全ての作業を私たちが実施する必要があります。
はっきり言って膨大な作業量です(;´∀`)
その一部を今日練習しましたが、例えば150㎏近くある電気機器を仮置き場から所定の位置まで運ぶのですが、これだけ重い機器になると、船外活動服に装着して持ち運ぶということが出来ません。
設計荷重を超えてしまうからです。
そこで、シェインと私が両側から機器を挟んで持って、先の1人が少し進んで機器を受け取り、後ろの1人がその間に距離を詰め機器を再度受け取り、また先の1人が少し進んで、というのを繰り返すことになります。

移動経路が真っすぐなら、時間がかかるだけで特に難しいことはないのですが、何度も態勢を変えたり、十分な手すりがないエリアを抜けなければならず、これには2人で四苦八苦しました。
時には片手で手すりを持って、もう片方の手でその150㎏の機器を回転させて先で待っている相棒に渡すという動作も必要でした。
無重力ですので150㎏という重さは宇宙では関係ないのですが、それでもそれだけの重さの物体に慣性をつけて回転させたり動かすのは、それなりに労力がいるのでは?ましてや片手でそれを扱うことなんて出来るのだろうかと、私はやっている間から不安だったのですが、後で船外活動経験者のシェインに聞くと、ゆっくり動かすように気を付けていれば全く問題ないとのことでした。
彼はもっと重いものを指2本で十分動かせたそうです。

最後に実施したのは、最良と最悪の中間のケースです。
何らかの事情でSPDMによる作業は実施できないけれども、ロボットアーム自体は使用できるというパターンです。
この場合、仮置き場自体をロボットアームで作業場所のすぐ隣に保持しておくことが出来るので、機器を移動させる距離がほんの数メートルで済みます。
SPDMが使えない分、全ての機器を人力で運ぶ必要がありますが、1つ1つの移動にかかる労力は多くないので、所要時間やワークロードは先の2つのケースのやはり中間くらいでしょうか。

シェインと私は作業ペースが大体同じなので、自然と呼吸も合って、とてもスムーズにいったと思います。
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今日は船外活動の準備に関する訓練で、終日ケイトとジェフと一緒でした。

ジェフは48次長期滞在のコマンダーで、長期滞在はこれが3度目になる超ベテランです。
お孫さんもいらっしゃる方で、普段からクールに色々なアドバイスをくれるのですが、休憩時間にそのジェフが少し興奮した様子で私のところにやってきました。

ジェフ「タク。ちょっとこれを見てくれ」

と言って差し出した彼のスマートフォン上で、動画が再生されています。

見ると、「たこ焼き」が映っています。

そうです。

あの「たこ焼き」です。

上にかつお節が乗ってるやつです。
そのかつお節を指さしながら、

ジェフ「これこれ!これはどうしてこんなに動いてるんだ!?」

どうやら、たこ焼きの上でかつお節が「踊る」のが珍しくて仕方がないようで、あのクールなジェフがちょっと興奮状態。

なんでも12月に訓練で日本に行ったときに、インストラクター陣と懇親会にいった先でこの摩訶不思議な食べ物に遭遇したらしく、そもそもかつお節を見たことがなかったので、さらにそれが「踊る」のが衝撃的だったようです。

同席したインストラクターに聞くと、「生きてるから」という回答だったらしいです。
どなたがそう答えたか、想像つくような気がしますが・・・(;´∀`)

とは言うものの、ジェフに質問された私も「はて?」と考えてしまいました。
小学校時代は関西エリアに住んでいた私にとって、たこ焼きは大好物ですが、かつお節が踊る理由なんて真剣に考えたことありませんし。

「うーん。たこ焼きって熱いでしょ? だから、えーとその、あれですよ。対流?」

たこ焼きで温められた空気が熱対流で上昇するのに、軽いかつお節があおられているのかと思ったのですが・・・

どうやらインターネットで調べてみた限り、そういうことではなさそうですね(;´∀`)
今度ジェフに会ったら訂正しておかなければなりません。

その後も、居合わせたNASAのインストラクターたちに、「これ見てくれよ」とたこ焼き動画を見せまわっているジェフを見ていると、なんだかホッコリしてしまいました。

訓練全然関係ないし(笑)
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NASAのカメラマンが撮影してくれた写真でご紹介していないものを、この週末を利用して解説付きで貼りたいと思います。

まずは、先日の真空チャンバーでの船外活動関連の訓練からです。

詳細は各写真のコメントを参照してくださいね。

訓練の模様は、こちらの投稿をどうぞ。
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/1JXaEKaPdd8
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/9jWqLezpkDw
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今日は一風変わった、けれども非常に大事な訓練がありましたのでそれについて。

2年前の2013年7月に行われたISSの23回目のアメリカの船外活動で、船外活動中のルカ・パルミターノ飛行士のヘルメット内に水が漏れだす事例がありました。
幸い大事には至りませんでしたが、その後同様の事例の再発を防止するため、様々な対策が講じられました。
水が漏れだした原因を追究して、考えられる要因を1つ1つ潰していくのももちろんなのですが、万が一同様の事態が再発した場合でも危険を最小限にするための工夫がなされました。

その工夫とは2つあって、1つはスノーケルを宇宙服内に取り付けること。
スノーケルというのは、海水浴で使われるものと同様です。
口にくわえて呼吸が出来るチューブですね。
これを口元の部分に取り付けます。
チューブの先は、自分のお腹のあたりまで届いていて、ヘルメット内に水が浸入してきてもスノーケルを使うことによって呼吸が可能というわけです。

そしてもう1つが、Helmet Absorption Pad(通称HAP:ハップ)です。
直訳するとヘルメット吸収パッドという意味ですが、早い話が水を吸収するパッドをヘルメット内の後頭部の辺りに取り付けるというアイディアです。
私たち宇宙飛行士は船外活動中はオムツを使用しますが、それと同じ吸収素材が用いられていて、500ml以上の水分を吸収する優れものです。

これらのスノーケルとHAPは、あくまで事態が再発した場合に安全にエアロックまで帰還するための対策で、決してそのまま船外活動を継続するためのものではありません。
従って、このHAPが水で濡れ始めたな、という感覚を知っておく必要があります。

今日の訓練は、その感覚を体験するためのものでした。

まずは実際にこのHAPを取り付けた状態のヘルメットを装着して、通常の状態がどのようなものか、というのを把握します。
そのあと、一旦ヘルメットを取り外して、HAPに水を50mlずつしみこませてヘルメットを装着してというのを繰り返し、段階的な感触の変化を体験します。

100mlくらいまでは、湿っているなという感覚よりは、何か冷たいものが頭の後ろにあるな、という感覚です。
250mlまでしみこませると、これはもうはっきりと頭の後ろが湿っているのがわかります。
頭を後ろに押し付けると、水がHAPから滲み出してくる感覚があります。

そこから一気にHAPが吸収できる限界近い600mlまで増やしました。
こうなると、もう頭を普通の位置に置いておくことが出来ないくらい、HAPも厚くなっています。
一部の水分が漏れだして、首元を濡らしました。
地上では重力があるので、水が下に滴り落ちてきますが、宇宙空間では表面張力でHAPや後頭部に張り付くことになるのだろうと思います。

船外活動中は、定期的にHAPの状態をチェックすることになっています。
そこで今回得た感覚を元に、早めに水の漏れを感知できれば、速やかに、かつ安全にエアロックへ帰還することが出来るでしょう。
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