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中島みゆき「一会」 劇場版 最新情報
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田家秀樹さんによる「一会」劇場版 公式サイト プロダクションノートを公開致しました。
http://ichie-movie.jp/note.html
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 ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞を知った時、誰もがそうであるように、一瞬「どういうことなんだろう」と思った。歌の歌詞が文学賞の対象になるということが、日本の常識では、まず考えられないことだからだ。
 そして、それがどのくらい画期的なことであるか素直に納得出来たのは、こんな風に置き換えられたからでもある。
 中島みゆきが芥川賞をもらうーー。
 もちろん、ノーベル文学賞と芥川賞とは質が違うし、同じように論じるわけにはいかない。ただ、仮定の話であっても、歌の詩が、文学の側から評価されるという図式としては、共通するのではないだろうか。
 歌の言葉でありながら文学として成立する。それだけの質を持った歌詞を書いているアーティストは多くない。メロデイーを外して、独立した詩の言葉として鑑賞や研究の対象になるという意味で、日本では中島みゆきの右に出る者はいない。彼女の詩を研究題材にしている学者や思想家の数も一人や二人ではきかない。
 前置きが長くなっている。
 そういう意味で言えば、1月7日から映画になって公開される『中島みゆきConcert 「一会(いちえ)」2015~2016 劇場版』は、これまで公開された彼女の映像作品の中で、最も中島みゆきらしい、と言って良いのだと思う。”らしい”というより”そのもの”と言ってもいい。
 今まで見せて来なかったこと。あるいは、見せたとしても、垣間見せるだけだったこと。時折つぶやくだけだったようなこと。これまで彼女が書いてきた作品に一貫して流れているようなこと。それらが、一つのコンサートに凝縮されている、今までになかった貴重なライブだからだ。
 彼女のライブ活動は、いくつかの流れに分けられる。一つは、『夜会VOL. 18「橋の下のアルカディア」』が去年、劇場版映画として公開、大ヒットした「夜会」である。一人のアーティストが原作・脚本・演出・作詞・作曲・歌・主演までもつとめるという世界で例のない音楽劇。今年はその再演が行われている。もう一つ、やはり映画が劇場公開されて大ヒットした「縁会」がある。「夜会」とは違う素の彼女を見ることの出来るコンサート映像。去年の12月から2月にかけて東京と大阪だけで行われたこの「一会」は、そのどちらとも違う。「今こそ、聴いて欲しい歌」というキャッチフレーズがついている。
 ライブは三部構成に分かれている。一部は「Sweet」、二部は「Bitter」、三部が「Sincerely Yours」。”Sweet & Bitter”。甘さと苦さ。優しさと厳しさ。穏やかさと苦しさ。彼女がやっているニッポン放送の「オールナイトニッポン」のテーマ曲「Bitter Sweet Samba」を思い浮かべた年配の方もいらっしゃるかもしれない。実際のライブでは、ラジオのスタジオのようなセットで会場からの葉書を紹介するシーンもあった。
 このライブが、どのくらいレアなものだったかは、収録されている全20曲のうち、「命の別名」「夜行」以外の全ての曲がコンサートとして初の映像化ということが象徴的だ。「ライカM4」「空がある限り」「Why & No」は、去年発売された最新オリジナルアルバム「組曲(Suite)」の中の曲だ。去年は「夜会」と重なりアルバムのツアーは行わなかったために、ライブ初披露の新曲ということになった。
 何しろ全20曲のうち、カップリング曲も含めてシングルが「やまねこ」「旅人のうた」「命の別名」「麦の唄」「浅い眠り」の5曲しかない。
 他は、どれもアルバムの中の曲ばかり。アルバムの核となるような曲が並んでいる。しかも、違うアルバムの中の曲でありながら、それぞれが関連性を持って並んでいるように聞こえる。それは、なぜこの曲を歌おうと思ったか、今、なぜこのライブを行っているかのヒントのように思えたのだ。
 一曲目の「もう桟橋に灯りは点らない」は94年のアルバム「LOVE OR NOTHING」の中の曲だ。「Sweet」と銘打った1部の一曲目。Sweetというには、過ぎてしまった日々を思う切ない歌だ。帰らないあの日、無邪気だった二人。桟橋という舞台から震災を連想する人もいるに違いない。
 そう、どの曲にも意味と意図があるような並び方をしている。「やまねこ」は、歓迎されない誕生の歌だ。生まれて最初に聞いたのが落胆の声だったのだから。「六花」と「樹高千丈 落葉帰根」はともに2001年のアルバム「心守歌」の中の曲、北の大地に降り積もる雪と自分の行く末。ゆりかごを揺するような歌い方は慈愛に満ちている。「旅人のうた」の中の漂泊感は「もう桟橋に灯りは点らない」から繋がっているように聞こえる。2012年のアルバム「常夜灯」の中の「あなた恋していないでしょ」は、同じアルバムの中の「ピアニシモ」あってこその歌だ。新作「組曲(Suite)」の中の「ライカM4」は、彼女を撮り続けている写真家・田村仁がモデルだそうだ。「Sweet」の最後は、プロデューサーの瀬尾一三と初めて組んだアルバム「グッバイ ガール」の中の曲だ。彼女にとっての「Sweet」はこの曲に尽きるのかもしれない。
 一本のライブで、どこまで今の自分の気持ちを伝えられるか。「一会」が、今までのどのライブとも違うのは、そこなのだと思う。
 中島みゆきには、「時代」という名曲がある。時代は変わるものであり、時代が変わっても変わらないものがある。そうした時を越えた真理を歌う事はあっても、目の前にある出来事を歌ったものはそんな多くない。今、僕らが生きている時代、そして、暮らしている国。そこで起きていることをどう感じているか。2部の「Bitter」には、そういう心情が色濃く出た曲が並んでいる。「常夜灯」の中の「ベッドルーム」と新作の中の「空があり限り」も違うアルバムからとは思えないかもしれない。
 そしてーー。
 客席にいて思わず息を飲んだのが「友情」だった。81年のアルバム「臨月」の中の曲は、本来、こう始まっていた。”悲しみばかり見えるから この目をつぶすナイフが欲しい”。彼女は一番をカットして、二番から始めた。そして、96年のアルバム「パラダイス・カフェ」の中の「阿壇の木の下で」につなげた。
 歌詞の中に地名こそ出てこないものの、「阿壇の木の下で」が沖縄を歌った曲だということはすぐに分かる。アルバム発売後のツアーでしか歌ったことがないと思われるこの曲を、2016年の冬に歌った。それも飛行機の爆音が覆い被さるような歌の途中のSEとともに。
 書かれたのは97年だったことを忘れてはいけない。今、起きていることをジャーナリスティックに歌ったわけではない。ずっと思っていたことを今、歌ってみた。その後に歌われたのは98年の「命の別名」だった。NHKの「プロジェクトX」のプロデューサーが「こういう主題歌を書いて欲しい」と持ってきた曲だ。「地上の星」がそこから生まれたという話は有名だ。人の痛み、人が人を傷つけること、名もなき君にも名もなき僕にも心はある、それが命だということ。メッセージソングにならずに歌として詩として伝える。詩人・中島みゆきの真骨頂だ。「麦の唄」は、それまでにあった曲のアイディアにドラマの脚本や企画書の中の”国と国””戦争と暮らし”などの要素を加えて完成したのがあの歌だった。「Why & No」を国と国の歌として聞くことも出来るだろうし、「流星」は、1部にもある”さすらい”の歌だ。「麦の唄」の主人公が祖国を捨て、戦争に巻き込まれた女性だったことは記憶に新しい。
 改めて思ったことがある。
 「一会」は「麦の唄」の続編、むしろ完結編でもあるのかもしれない。「麦の唄」がなければ、あのライブは生まれてなかったかもしれない。「麦の唄」だけでは言い切れなかったこと、言葉が足りずに伝えられなかったことを敢えて、今、形にしたとは考えられないだろうか。
 3部の一曲目、92年の「浅い眠り」をNHK連続テレビ小説「マッサン」放送開始時刻だった朝8時の夢うつつの睡眠状態と結びつけるのは皮相過ぎるだろうか。アルバム「心守歌」の中の「夜行」は、「麦の唄」で”朝の人”と思われた事への返歌のようだ。そして、最後は2014年のアルバム「問題集」の中の「ジョークにしないか」である。客席にいた僕らがコンサートの内容に驚くことを折り込み済みだったような曲は、彼女のユーモア精神だろう。これは、これ、「一会」ですから。そう言っているようだ。
 こんなに揺るぎないライブがあっただろうか。
 そして、これだけ衣装替えした魅惑的なライブも、である。
 「友情」の一番をなぜカットしたのか。
 ”悲しみばかり見えるけれど、そこから目をそらさない”という彼女の意思表示だったのではないだろうか。
 誰も聞いたことのない、今まで見せたことのない、明日へ向かう中島みゆきがここにいる。
 今こそ、聴いて欲しい歌ーー。
 いくつもの謎もある。
 これから先の活動がその答えなのだと思う。
 このライブを見ずに、これからの彼女は語れないだろう。
                   
                    音楽評論家 田家秀樹
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本日発売のAERA年末合併増大号(1月9日号)に「一会」劇場版、告知掲載となっております。

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音楽ナタリーにて特集展開が公開されています!
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1月7日(土)の公開初日に公開を記念して、
瀬尾一三氏のトークイベントの開催が決定しました!

日 時:2017年1月7日(土)12:40上映の回
   (終了予定:16:00頃)
場 所:丸の内ピカデリー3
   (東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン新館5F)
登壇者:瀬尾一三(せお いちぞう)
料 金:2,500円(税込)

【チケット販売スケジュール】※定員に達し次第、販売終了
 ●丸の内ピカデリー オンライン販売 
  インターネット(会員) :1月4日(水)17:00より販売開始
  インターネット(一般) :1月4日(水)21:00より販売開始
  ≪ご購入はコチラから≫
   http://www.smt-cinema.com/site/marunouchi/
 ●丸の内ピカデリー劇場窓口販売   
  1月5日(木)劇場営業開始時間より販売開始
  (但し、残席がある場合のみ)

※登壇者は予告なく変更となる場合がございます。
 予めご了承願います。
※トークイベントは上映終了後の実施となり、
 トークイベント開始前には、約15分の休憩がございます。
※場内でのカメラ(携帯電話を含む)・ビデオによる撮影・
 録画・録音等は、固くお断りいたします。保安上、入場時に
 手荷物検査を行う場合がございますこと、予めご了承ください。
※当日、マスコミ・メディアの撮影が入る場合がございます。
 その際、お客様が映像等に映り込む可能性がございますこと、
 予めご了承ください。
※既にご購入頂いてます『中島みゆきConcert 「一会(いちえ)」
 2015~2016 劇場版』前売ご鑑賞券もご使用頂けます。
※いかなる事情が生じましても、ご購入・お引換後の鑑賞券の
 変更や払い戻しはできません。
※特別興行につき、各種招待券・株主券・SMT Members
 クーポンはご使用になれません。予めご了承下さい。
※転売・転用を目的としたご購入は、固くお断りいたします。
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