入門 哲学としての仏教 (講談社現代新書)竹村牧男

序 仏教はとても斬新な哲学である

仏教という知性/異端から世界宗教へ/近代合理主義の限界/自己とは何かを究める/自分探しの旅へ



第一章 存在について──本体なき現象の生成

あるということ/変わらない自分はある?/「自分自身を保つもの」/仏教のオーソドックス・説一切有部/世界を構成する要素──「五位七十五法」/色法の内容/心の成り立ち──心王と心所有法/物でも心でもないもの──心不相応法/変化・生滅のない世界──無為法/物がはじめに存在しているのではない/縁起の世界観/因・縁・果の関係/「三世実有、法体恒有」/実体なくして現象のみ──大乗仏教の存在論



第二章 言語について──その解体と創造

仏教は言語哲学である/文字・単語・文章/言語は心か物か/世界をどのように分節するか/牛という一般者は実在するのか/名前は「他の否定」にすぎない/五感の流れに言葉を立てる/事の世界のみ/事的世界観──唯識の思想/言葉の不思議な力/言葉が世界を作り上げる/「私は(~を)見る」は成り立たない/運動はありうるか/言語を解体する龍樹/語れないことを語りつくす/不立文字・教外別伝/「阿」──密教の言語宇宙



第三章 心について──深層心理の奥にあるもの

意識下の世界/唯識思想の心の見方/自我に執着──末那識/心の奥の広大な蔵──阿頼耶識/意識上と意識下の交渉/心の内なる神/第九識──如来蔵思想/本覚という言葉/真如門と生滅門/心のなかの「十界互具」/曼荼羅と心の統合/華厳十重唯識の奥義/空海の十住心思想/心の源底の真実



第四章 自然について──自己と環境の哲学

環境問題解決への道/一人一人八識/環境も自己である/「三世間融合の十身仏」──華厳思想の仏身論/天台思想の草木国士観/「草木国土、悉皆成仏」の論理/草も木もそのまま仏である/自己は閉じられた存在ではない/みな仏の体である──空海の自然観/ディープ・エコロジーと仏教/愛他の実践/仏教の可能性



第五章 絶対者について──絶対無の宗教哲学

ポスト・モダンのなかの絶対者/ヒックの宗教多元主義/釈尊の覚り/人格的な絶対者/阿弥陀仏とは/『法華経』の核心/三世十方多仏説/三身としての仏/大乗仏教のコスモロジー/相対と絶対は一つ/重重無尽の構造/絶対者の自己否定ということ/個は個に対して個であること/維もが成仏する世界/寛容の理由/宗教・宗門間対話を



第六章 関係について──その無限構造の論理

関係が成立しうる基盤/当時の社会体制への批判/「これあるとき、かれあり」──初期の縁起思想/意識上と意識下の相互交渉のなかの世界──唯識学派/「無自性の故に空」──中観派/重重無尽の縁起──華厳思想/関係の構造の分析/「一がなければ十は成立しえない」──向上門/柔軟な視点──向下門/相即の論理/十玄門の内容/六相円融義の縁起観/一本のたるきなくして家なし/瓦なども一本のたるきである/華麗な論理構造/関係主義的世界観



第七章 時間について──絶対現在の時間論

世界という言葉/矢のパラドクスと『中論』/徳山と点心/「永遠の今」──道元の時間論/「咲く咲く常住、散る散る常住」──天台本覚法門/自己は世界に置かれている/刹那滅ということ/無始無終の刹那滅相続/時間の始原と今/絶対現在の真実/空海らの時間論/時間的因果関係は可能か/勝義諦を称揚する立場──『中論』/因果を仮設と見る立場──唯識/十世の法──華厳思想の時間論/今に立ち尽くす/十二時を使う



結 「哲学としての仏教」への一視点

独特の「知」のあり方/自己と世界にかんする真実と真理/理性への過信の問題/他者問題としての環境問題/改編への手掛かり/自己は他者の全体という哲学/共に震える/宗教と倫理・道徳との違い/日本仏教の課題
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