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Kenichi Nishizawa
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楽曲分析で何が明らかになるのか
 これはM先生の受け売りですが、  バラバラに鳴らした何の脈絡のもない音列を「ファです」「ド♯です」などと答えられる人、いわゆる絶対音感の持ち主が多いのは、幼い頃から教育を受けたアメリカ人、中国人、日本人だとか。  ヨーロッパ人の場合、絶対音感なるものの傾向はそれほど強くありません。意外に思われがちですが、案外、意外でもなく、ここでは「何の脈絡もない音列」であるというのがミソで、彼らは音と音との関係性を聴きとる傾向にあります。ゆえに、関係が分断されると分かるものも分からなくなる。一方、日米中の音楽家の多くは、...

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4音からなる動機の可能性は何通り?
 とある酒の席での話。  「作曲をしているあなたに言うのも失礼だけど、もう音楽の可能性は出尽くされてしまった。バッハのような天才など二度と現れまい」と、僕の目の前に座った老人が嘆く。僕の曲を聴いてそれを仰ったのなら批判とも皮肉とも受け取れたので、素直に「ごめんなさい」と言うこともできたのですが、僕はただ「作曲家です」と自己紹介をして彼の前に座っただけ。で、これを言われた。  バッハの後に生まれたモーツァルトもベートーヴェンもショパンもブラームスもみーんな天才とは呼べないということですね。という嫌味は胸にしまい...

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音楽の冗談、の常談(5)IV. Presto
 「交響曲第41番『ジュピター』の最後はケルンの大聖堂のようだ」と、グラズノフは表現した。というくだりが、ソロモン・ヴォルコフ編『ショスタコーヴィチの証言』(水野忠夫・訳 中公文庫1986年)のなかにある。いろいろと問題のある本で、これからの世代が手に取る姿がまったく想像できないけれども、『ジュピター』がケルンの大聖堂とは素晴らしい喩えだ。こうした言葉までひっくるめて読まれなくなってしまうのは、あまりに惜しい。  今でこそ、誰もがモーツァルトと言うけれども、19世紀の音楽家が今日の様子を見たら、どうしてあんな...

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音楽の冗談、の常談(4)III. Adagio cantabile
 不思議な楽章である。第二楽章までを観察してきたわたしたちの耳からすると、形式的なアンバランス感をこの楽章から感じ取ることはないだろう。緩徐楽章としてちょうど良い規模を持っているし、素材も全て揃っていて、過不足ない。たしかに、ヴァイオリンによるカデンツァはおかしなものであることがただちに理解できるし、そもそも余計な自己主張に見えなくはないにしても、ところどころには普段の彼を窺うことすらできる。しかし、この何ともいえない違和感の正体は何なのだろうか。  この楽章を聴いて真っ先に耳につくのは一小節目、第一ヴァイオ...

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音楽の冗談、の常談(3)II. Menuetto
 この楽章の楽譜を手にすると、優雅な舞曲であるはずのメヌエットに「マエストーソ(堂々と)」などという場違いな指示がなされているのが、目に入る。  第一楽章で彼が示したような冗談は、もはや主題のなかには見出せなくなっており、冒頭の四小節には理論的な間違いも見当たらない。軽やかに演奏すればメヌエットに聴こえるだろう。ただ、彼の指示どおりに、演奏者が堂々と演奏すればするほど、メヌエットの精神からは加速度的に外れ、救いようのない「狩」の音楽になっていく。そうすればするほど5小節目からのホルンがメヌエットの領域を超える...

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音楽の冗談、の常談(2)I. Allegro
 「当たり前のことが当たり前のように響く」とモーツァルトを形容する人がいる。それだけ自然で、なめらかな音楽だ。ただ、彼を讃える言葉として「当たり前」が妥当と言えるのかどうか、少し立ち止まって考えたい。  『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』はシンプルなI度からV度の連結から始まるが、冒頭四小節間は思い切ったユニゾンで書かれている。和声は分散され、リズムが付けられ、I度は上行、V度は下行と性格も分けらる。5小節目からの保続音に乗って「ソファファ」「ラソソ」という上声の特徴的な倚音、トリル、ヴィオラの「ラドファラ...

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音楽の冗談、の常談(1)はじめに
 モーツァルト作曲、『音楽の冗談』Kv.522。  1789年の完成。ウィーン古典派音楽芸術の王道中の王道、鉄壁の完成度を誇る彼の作品群のなかで、ひときわ珍妙で、頭を抱える一曲だ。あの素晴らしい弦楽五重奏曲や、代表的なオペラである『ドン・ジョヴァンニ』を作る一方で、二年にも渡る試作を重ね、入念に準備をし、彼は冗談を書いていたのだ。作品目録には6月14日の日付で『Ein Musikalischer Spaß』のタイトルを、自らの手で堂々と書き込んでいる。彼を一流の音楽家として育て上げた教師でもある父レオポルトの...

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ババのないババ抜きは面白いと思う?
 誰だって一度くらいはババ抜きで遊んだこともあるでしょう。  きわめてシンプルなゲームですけど、最後の手持ちのババをいかに相手に押し付けるか、というところに、駆け引きの楽しさが生まれます。一度でもこれで遊んだことのある人なら、わざわざ一枚「これを取れ」と出っ張らせた経験だってあるでしょう。ババのほうを出っ張らせる人もいるし、ババじゃないほうを出っ張らせる人もいる。ババじゃないほうを取られそうになったとき、あえて嬉しそうに口をほころばせ、相手を惑わせる性格の悪い人もいます。  たった一枚ジョーカーを忍ばせておく...

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音楽理論的に正しい料理教室(10)麻婆豆腐
 いままで勉強してきたまとめとして、麻婆豆腐に挑戦しましょう。  普段なにげなく食べている麻婆豆腐ですが、これはTSDの機能が最大限に拡張された複雑な料理です。各素材の関係と作り方の時間設計は、中心軸システムとフィボナッチ数列が役に立ちます。 ◇トニック軸  油(ド)  スパイス群1/輪切りの赤唐辛子、ホールの花椒(ファ♯)  豆腐…さいの目に切り、水を切っておく(ラ)  豚ひき肉(ミ♭)   ◇ドミナント軸  豆板醤(ソ)  香味野菜/長ネギ…みじん切り、しょうが・にんにく…チューブも可(レ♭)  甜麺醤(...

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音楽理論的に正しい料理教室(9)カレー
 どうしてお正月のカレーって美味しいのでしょう。  さて、基礎のしっかりしたオーソドックスなインド風のチキンカレーを作ると、それを主題としていくつもの変奏を用意できます。ますはスリランカ風に変奏してみましょう。  スリランカ風にするにはいくつかのポイントがあります。ひとつに、ポルキリ。ココナツミルクのことです。これは製菓コーナーにある乾燥ココナツを色がつかない程度に炒り、水をいれ、それを濾して作ってください。二番だしまで取れます。二番だしはご飯を炊くのに使いましょう。叩いて割ったカルダモンと塩も忘れずに。水に...
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