Profile cover photo
Profile photo
知財専門通訳翻訳 井上英巳
6 followers -
知財専門 IP Linguist ドイツ語英語通訳翻訳
知財専門 IP Linguist ドイツ語英語通訳翻訳

6 followers
About
Posts

EPO異議部:本件特許引用の先行文献は異議申立手続の一部をなす
2016年1月にミュンヘンEPOで行われた異議部口頭審理(技術分野:変性ポリテトラフルオロエチレン/国際分類C08F 259/08)において,それまで提出されていなかった先行文献に基づいて異議申立人が進歩性欠如の攻撃を行おうとした。特許権者は時機に遅れた証拠の提出だとして提出の却下を請求したが,異議部はその文献が本件出願の冒頭にある先行技術説明部分に引用されている文献であり,その実施例のひとつは本願の比較例ともなっていることを理由に(「出願人もよく知っている文献であり,予想外の事実にはあたらない」),「この文献は異議申立手続の開始時点から手続の一部であったものとみなす」としてその提出を認めた。EPC114条2項および施行規則116条の対象は「事実および証拠」のみであり,提出済みの証拠および事実に基づいて新たな論旨を展開することは手続のどの時点でも可能なことから(T926/07),異議手続における口頭審理での特許の防御にあたっては,異議申立人から提出されていない文献でも,本件特許に引用している文献がEPOのProblem/solution論法における「最も近い先行技術」として進歩性欠如の攻撃に使われた場合の対応も準備する必要がある。

「特許侵害の手引き」第8版
ドイツ特許侵害訴訟のバイブル,トーマス・キューネン裁判長著「特許侵害の手引き」は毎年年末に改訂され,現在は第8版が発刊されている。今回は,デュッセルドルフ地裁の付託を受けて昨年七月に欧司裁が下した標準必須特許SEPおよびFRAND宣言を巡るEU機能条約102条の解釈に関する先決裁定(C‑170/13)を受けて,特許侵害訴訟における被告の防御の方法としての「強制実施権の抗弁」に関する記載が拡充された。本書は,侵害訴訟提訴前段階の警告状のひな形から,訴訟手続の各種決定および判決のひな形まで網羅した起案の手引きともなっているが,1月にマンハイム地裁民事7部で行われた口頭弁論では,フォス裁判長が本書の引用番号まで挙げて裁判所の見解を示す場面があり,まさに「バイブル」的な存在である。これがデュッセルドルフ高裁の裁判長の著作であることを考えれば,デュッセルドルフ地裁であたかも法源のごとく扱われているのは理解できるが,ドイツ全土の裁判所に与える影響の大きさには改めて感心する。そしてこれが,本来ドイツの知財司法においては最高の位置にある連通裁民事十部のマイヤーベック裁判長と,キューネン裁判長との間の常に緊張した複雑な関係につながっている。

独侵害訴訟の停止請求で提出する特許文献はドイツ語訳が必須
#侵害訴訟#無効訴訟#分離主義 をとっているドイツでは,侵害訴訟における無効論というものは本来存在しないが,被告が予備的請求として,特許の無効を主張し,無効訴訟の終局判決が確定するまで,ないし第一審判決まで侵害訴訟の手続を停止することを請求した場合に,停止の可否を巡ってのみ無効論が浮上してくる。裁判所が停止決定を下す主な前提となるのは,停止の請求は予備的請求であるから,主位的請求である訴の棄却が認められない場合,すなわち侵害論において裁判所が侵害という結論に達していること,無効請求訴訟が連邦特許裁判所において係属中であること,かつ特許が無効となる十分な蓋然性があることなどである。このような請求を行う被告は,侵害訴訟においても特許の新規性・進歩性を阻害するような先行文献を提出して,特許無効の根拠を示す論旨を展開することになるが,その際に提出する文献は,ドイツ語訳で提出することが原則となっているので注意が必要である。連邦特許裁判所では通例英語で提出してもそのまま証拠として認められるが,侵害訴訟では英語で提出すると,裁判官はその文献を読まずに判断する。その理由のひとつは,ドイツ語訳を作成させることによって,関連性の低い文献の提出を予め防ぎ,技術判事でない侵害訴訟の裁判官が読まなければならない特許文献の数を最低限に抑える狙いがある。また,ドイツ語訳の内容から特許の有効性を判断することになるため,その翻訳の質がドイツ語として高いものでないといけない。ここでいう「質の高い翻訳」とは,特許法に照らして明確かつ適切なドイツ語になっているという意味である。ちなみに,侵害訴訟において提出された文献を裁判所が手続停止請求の枠内で考慮の対象とするためには,特許の審査段階では引用されていない新しい文献であることも条件である。当然ながら,並行して係属中の無効訴訟でも同じ文献が提出されていることが前提である。

Post has attachment
独裁判所提出日本文献翻訳についてマイヤーベック裁判長の見解
ドイツ連邦通常裁判所民事10部で2月24日に行われた特許無効請求事件控訴審の口頭弁論においてマイヤーベック裁判長から日本特許文献の翻訳について「先行文献が日本の特許公報である場合に,英語訳の使用は当裁判所では望ましくない。理想的には日本語での参酌ができればよいが,残念ながら我々に日本語は理解できないので,当裁判所の手続原語であるドイツ語訳を使用する。ドイツ語訳は,日本語からドイツ語への直接の翻訳を行うべきで,日本文献の英語訳からの二重の翻訳では原文献の意図が曖昧になる恐れがある。」という発言があり。
Photo

Post has attachment
国際知的財産保護協会(AIPPI)ドイツ部会の会員になりました。

Post has attachment
欧州統一特許裁判所(UPC)手続規則案第17版公開
統一特許裁判所の最新の手続規則案が公表され、11月26日に公聴会が行われる。手続規則の策定作業はいよいよ最終段階に入った。

ドイツ特許商標庁への出願数2014年も増加の見込み
ドイツ特許商標庁(DPMA)は、2013年に続いて今年も特許・商標・意匠の出願数が増大する見込みであることを公表。唯一実用新案だけが減少している。PCTのドイツ国内段階移行数も増えている。

Post has attachment
知財関連業務を専門とする通訳・翻訳者としてドイツ知的財産保護協会GRURの正規会員になりました。

Post has attachment
EPO審査ガイドライン2014年11月版先行公開
2012年に大改訂されてから、毎年改訂が行われるようになったEPO審査ガイドラインの2014年版が11月1日からの発効に先立って公開されている。PDF版では2013年9月版との変更箇所欄外に縦線(挿入)および横二重線(削除)が付されており、新しい箇所がわかるようになっている。

Post has attachment
WIPOの多国語技術用語データベースPEARL始動
世界知的所有権機関が運営する特許関連技術用語のデータベースが9月に一般公開された。これは世界からWIPOに集まるPCT出願に使用された技術用語を集めた用語データベースで、現在日本語を含む十ヵ国語に対応、収録語数は9万件を超えている。単語から検索できるLinguistic Searchと技術分野から検索できるConcept Map Searchの二種類があり、どちらも検索結果にはその用語が実際に使われている出願のコンテキストが表示され、PCT出願の場合にはPatentscopeと連動しワンクリックで該当出願を呼び出すことができる。また、各国語の訳語の信頼性レベルも表示されることから、対応する技術用語の検索には、最強の武器となりそう。分野検索ではコンセプトマップが表示され、関連する用語の相関関係がわかり、それぞれの用語をクリックすれば、各国語の対応する用語と出典出願の該当箇所が表示される。用語の信頼性については、WIPOの専門スタッフが確認済みとのことで、今後収録語数がさらに増えてゆけば、極めて有効なツールとなるだろう。
http://www.wipo.int/wipopearl/search/home.html
Photo
Photo
2014-10-03
2 Photos - View album
Wait while more posts are being loaded